のほほん備忘録

のほほんと過ごす日々に、ちょっとした備忘録

金沢滞在記 ~現代美術に触れる~

旅行2日目。この日は金沢市内の美術館をはしご。旅行スケジュールを考えるとき、美術館の滞在時間はかなり長めに設定した。国立工芸館は1時間20分、金沢21世紀美術館は2時間。インターネットで調べた所要時間の1.5倍くらい時間がかかる人なので。実際は、予定の10~15分早く美術館を出た。それでも、1~2時間はかかっていたのか…。ミュージアムショップも含めたら、まぁそれぐらいかかるか。

 

国立工芸館「ポケモン×工芸展」

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今回のメインイベント。懐かしいポケモンたちが芸術家の手によって作品に溶け込んでいた。ポケモンのゲームやキャラクター図鑑などでイメージを膨らませ、自分の作品に落とし込む。芸術家の中には、初めてポケモンに触れた方もいたのだそう。

この展覧会は、3つのセクションに分かれていた。各セクションの中で印象的だった作品を紹介する。この展覧会は写真OK。こういうタイプは初めてだった。

1.すがた ~迫る!~

土、草、金属といった物質や、水、炎、電気といったエネルギー。工芸に欠かせないものが、そのままポケモンのタイプに通用する。ポケモンの姿や仕草を作品に呼び起こし、まるでその場にポケモンがいるかのような気持ちにさせた。

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フシギバナ(今井完眞/2022)。この皮膚のデコボコ感と鋭い爪と牙。リアルの世界にいそうな雰囲気を醸し出している。

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自在トランセルバタフリー(満田晴穂/2022)。トランセルからバタフリーへ進化する様を表現している。まさに今!という感じが印象的だった。

2.ものがたり ~浸る!~

ポケモンの世界観を工芸で表す。進化の流れをモチーフにしたり、バトルの空間をある一室で表現したり。自分がゲームやアニメの世界に入ったかのような作品が多いゾーンだった。

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Vessel -TSURARA-(新實広記/2022)。アニメでよく出てきた「つつら落とし」のシーンを一つの部屋で表現。所々に大小さまざまなつつらが落ちていて、バトルの世界観を味わえる。

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ピカチュウの森(須藤玲子/2022)。黄色い布を使ったテキスタイル。黄色い空間に覆われている一方通行の森。ここに描かれているのはピカチュウ。作者は他のポケモンでもやろうとしたが、最も気に入ったのがピカチュウだったそう。ピカチュウの人気ぶりに圧倒される作品。

3.くらし ~愛でる!~

日々の生活に彩りを加える器や織物。その中にポケモンたちがいる。ポケモンたちを見て、日々の暮らしの大切さを感じさせる。

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リザードン信楽壷(桝本佳子/2022)。これが最もインパクトがあった。赤い信楽壺とリザードンを掛け合わせたら、こんなに迫力があるのか!スケールのデカさに何枚も写真を撮った。

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江戸小紋 着尺 「ゲンガー・ゴースト」(小宮康義/2022)。遠くから見ると、鮮やかな紫の江戸小紋。しかし、よーく目を凝らしてみると、ゴーストやゲンガーがうじゃうじゃ。一つの作品で2通りの楽しみ方がある作品。同じような江戸小紋の着尺があと3種類あったが、知っているポケモンがこれだった。

他にもいろいろ紹介したいが、実際に見に行って楽しんでほしい。陶芸、彫刻、蒔絵、装飾、テキスタイル…etc. 工芸にはいろんな入り口があり、それぞれの奥深さを知ることができた。また、第一印象では「ポケモンと工芸の掛け算」が想像できなかったが、どちらにも通ずる共通項があり、それを上手く融合していた。とてもユニークで見応えのある展覧会だった。

 

 

金沢21世紀美術館「それは知っている:形が精神になるとき」

遅咲きの桜がお出迎え。外国人観光客が多かった。

館内の展示室はコレクション展が開かれていた。「それは知っている:形が精神になるとき」。現代美術の作品が多く展示されていた。

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特に印象的だった作品は、銃で作られたパーカッションの楽器。作品名は「人々の国際連合 武装解除時計」(ペドロ・レイエス/2013)。メキシコの銃社会を変えるため、不法所持の銃を楽器として再利用し、それに時計を組み込む。15分ごとにパーカッションのメロディが鳴り響く。その音を聴くことができたが、銃で作られたものとは思えないくらいポップなメロディだった。銃という武器からの解放、平和的な精神に生まれ変わって未来へとつなぐ。そういったメッセージが伝わる作品だった。

別の展示室に入ってみると、インパクトがあり過ぎるバルーンアートがドーンと視界に入り込んだ。

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作品名は「The Big Flat Now」(松田将英/2022)。スマートフォンなどでよく見る「泣き笑い」の絵文字が描かれている。人の表情は多くのメッセージや感情があり、とても複雑である。特にこの絵文字は、笑っているのか泣いているのか、と意見が分かれそうなところだ。この展覧会のテーマである「形と精神」にしっくり来た作品だった。

約2時間かけて21世紀美術館を見て回った。現代美術は、想像力の世界だと感じた。

 

15時頃には金沢を出た。行きと比べて帰りの乗り換え時間は10~15分とかなり短かったから、ちょっと心配した。結果としては、新大阪駅神戸プリンのお土産を買えたくらい余裕だった。

いよいよ岡山初上陸。岡山駅で乗り換えて、在来線で倉敷へ。暗くなっていたし、この日は雨が降っていた。