2023年が始まって1週間後の朝。私はEテレの「日曜美術館」を見ていた。番組の後半に各美術館の催し物を紹介するコーナーがある。その日は、ポケモンと工芸のコラボ展が紹介されていた。丸いつぼにリザードンがいたり、一枚の布にゴーストがうじゃうじゃいたり。ポケモン世代としては見逃せない展覧会だ。
3月中旬から国立工芸館で。聞きなれないところだったので、いったいどこにあるんだと検索した。金沢。だいぶ遠いなぁ、と九州民の私は感じた。でも、電車を使えばシンプルな道のりかもしれない。それに、こういうときでないと金沢なんて足を運ばない気がする。今のところ巡回展はないらしいから、行く価値はありそうだ。こうして、今回の旅の主目的が決まったわけである。
時間と費用の計算をするうちに、倉敷にも行こうということになった。以前から、岡山という場所に興味を持っていた。岡山って何があるの?という「ミステリースポット」の感覚で。その中でも、倉敷美観地区はいいぞ!という話はあちこちで聞いていた。昔ながらの街並みというのも、私の大好物だ。2月ごろには、金沢と倉敷の2泊3日ひとり旅という計画が漠然と決まった。
問題は「どこにいくのか」「何を食べるのか」だった。図書館でそれぞれの旅行雑誌を借りて情報収集。金沢は割とすんなりと考えられたが、倉敷は難航した。どうもしっくりこない。そんな状況を打破したのは、大原美術館の「モーニングツアー」だった。開館前に館内の展示品を特別解説員と一緒に巡るツアー。アートがよく分からない私にとっては、こういうガイド付きはとてもありがたい。これを見つけてから、今回の旅のテーマが明確になったといっても過言ではない。
今回の金沢・倉敷旅行のテーマ。それは「アートと海鮮グルメを巡る」である。
国立工芸館と大原美術館で「アート」の共通項を得た。この流れから、旅行の計画に金沢21世紀美術館も追加された。博物館巡りは何度かしたことあるけれど、意外にも美術館巡りは初めて。アート巡りなんて普段やらないから、とても楽しみだ。
グルメに目を向けると、どちらも「海産物」という共通項があった。言われてみれば、金沢(石川)は日本海だし、倉敷(岡山)は瀬戸内海である。旅行雑誌にも、金沢は寿司や海鮮丼、倉敷は祭り寿司(ばら寿司)が有名と紹介されていた。九州のお魚とはまた違ったラインナップになりそうだし、実際に食べ比べてみるのもまた面白そう。
他に気になるものを挙げるとするならば、金沢おでんや岡山のフルーツも外せない。金沢おでんは冬以外にも食べられているというのは、一体どういうことなんだろう。おでんのネタもまた違うのだろうか。また、岡山と言えばフルーツのイメージが強いので、美観地区にフルーツをふんだんに使ったスイーツが置いてあるカフェがあれば行ってみたい。
この記事を新大阪へ向かう新幹線の中で書いた。この後に、特急サンダーバードに乗り換えて金沢へ向かった。お昼ご飯は、かしわめしの駅弁とアイスティー。駅弁は博多駅で購入した。いざ、北陸初上陸。そして、念願の倉敷へ。2泊3日のひとり旅が始まる。